AKANE
「その医療班の長はこのわしだ。覚えておらんかい?」
薄暗闇のテントの中でじっと目を凝らすと、見覚えのある風貌に、フェルデンはぴんときた。
「あなたは確か・・・。ボウレドで傷を手当てしてくださった街医者の・・・」
「ああ、覚えてくれていたか。まさか、君がサンタシの王子さんだったとは」
フレゴリーは口髭ぽりぽりと掻くと、ぱちくりと目をしばたかせた。
「昔の経験もあって、今回この遠征の医療班の長として引き抜きを受けたんだ」
フェルデンの疑問に答えるように、フレゴリーは付け加えた。
「ゴーディアの副司令官殿も、相当の傷を負ってはいたが、今し方やっと落ち着いたところだ。聞けば、あのときの生意気な小柄坊やが相打ったそうじゃないか。そこでだ、わしに彼を診させてはくれないか?」
フィルマンがいつしか話してい憧れの医者、フレゴリーこそ、今この目の前にいる男であった。
“患者に敵も味方もない”と言ったフレゴリーの言葉に、きっと嘘はないだろう。
「どうだろう、このフレゴリーに免じて、一時ゴーディアの申し出を受け入れてはくれんだろうか? 実際、そちらの怪我人達の状態が気になって仕方が無い」
朱音自身、思わぬ人物の登場にひどく驚いていた。
僅かに考えた後、フェルデンはフレゴリーに問うた。
「フレゴリー、あなたならユリウスを救えるのか・・・?」
「手遅れにならんうちならばな」
間髪入れずに返ってきた自信に満ちたフレゴリーの答えに、フェルデンはこの男ならば信じてもいいと、そう思えた。
「アレクシ、兄上に急ぎ文を送る。危険が迫っていると文に認(したた)めろ。バスカに届けさせる。おれはすぐにロランに結界を解除させる」
「はっ」
朱音は咄嗟にフェルデンに頭を下げた。
「ありがとう・・・!」
薄暗闇のテントの中でじっと目を凝らすと、見覚えのある風貌に、フェルデンはぴんときた。
「あなたは確か・・・。ボウレドで傷を手当てしてくださった街医者の・・・」
「ああ、覚えてくれていたか。まさか、君がサンタシの王子さんだったとは」
フレゴリーは口髭ぽりぽりと掻くと、ぱちくりと目をしばたかせた。
「昔の経験もあって、今回この遠征の医療班の長として引き抜きを受けたんだ」
フェルデンの疑問に答えるように、フレゴリーは付け加えた。
「ゴーディアの副司令官殿も、相当の傷を負ってはいたが、今し方やっと落ち着いたところだ。聞けば、あのときの生意気な小柄坊やが相打ったそうじゃないか。そこでだ、わしに彼を診させてはくれないか?」
フィルマンがいつしか話してい憧れの医者、フレゴリーこそ、今この目の前にいる男であった。
“患者に敵も味方もない”と言ったフレゴリーの言葉に、きっと嘘はないだろう。
「どうだろう、このフレゴリーに免じて、一時ゴーディアの申し出を受け入れてはくれんだろうか? 実際、そちらの怪我人達の状態が気になって仕方が無い」
朱音自身、思わぬ人物の登場にひどく驚いていた。
僅かに考えた後、フェルデンはフレゴリーに問うた。
「フレゴリー、あなたならユリウスを救えるのか・・・?」
「手遅れにならんうちならばな」
間髪入れずに返ってきた自信に満ちたフレゴリーの答えに、フェルデンはこの男ならば信じてもいいと、そう思えた。
「アレクシ、兄上に急ぎ文を送る。危険が迫っていると文に認(したた)めろ。バスカに届けさせる。おれはすぐにロランに結界を解除させる」
「はっ」
朱音は咄嗟にフェルデンに頭を下げた。
「ありがとう・・・!」