AKANE
皮肉なことに、白亜城に歓迎できない輩が入り込んだことにいち早く気付いたのは、魔王の側近であり、今はゴーディアの罪人アザエルその人であった。
「魔族の気配を感じる」
主の命令通り、ヴィクトル王の傍から離れようとしないアザエルは何の表情も浮かべないままぽつりと溢した。
「何?」
ヴィクトル王が聞き返そうとした瞬間、城内で悲鳴が響き渡った。
まるで図ったかのように、雷鳴を轟かせ、突然窓の外が豪雨に見舞われる。バチンバチンと窓や屋根を叩きつける雨音は、その激しさを物語っていた。
「そのままの意味だ」
冷たい碧い瞳がじっとヴィクトル王を見つめた。
外に青白い閃光が走り、遅れて轟音が鳴り響いた。薄暗い王室の中を、雷光が点滅する明かりのように二人を不気味に照らし出す。
王室の窓からは、既に流れ落ちる雨水により外界の様子は全くといっていい程遮断されていた。
王室の扉が開かれ、真っ青になった侍女が飛び込んで来た。
「陛下・・・! すぐにここからお逃げ下さい!!」
本来ならば、こうして許可もなく王室に入るなどは無礼極まりない愚行であったが、それをも短縮せざるを得ない程、今の状況が切羽詰っていることが見て取れた。
「エメ、一体我が城に何が起こっておる!?」
ヴィクトル王はがたりと椅子から立ち上がると、血相を変えた侍女に問うた。
「陛下、一体どうやったのかはわかりませんが、城内にゴーディア兵が入り込み、城内の兵や侍女を次々に切り捨てています・・・! きっとここへも直ぐ・・・」
雨音と雷鳴に掻き消されながらも、城内で悲鳴が響き続けている。
「まさか・・・、一体どうやって・・・」
フェルデンから連絡を受けてからは、より一層の警戒はしてきたつもりなのに、それはいとも簡単に打ち崩されてしまった。
落城すれば、サンタシは魔族の手に渡ることになり、サンタシの民は魔族の手により不当の扱いを受けることは目に見えていた。
(やはり、クロウ王の裏切りなのか・・・!?)
ちらと碧髪碧眼の男に視線やると、男はふっと冷笑を浮かべ言い放った。
「クロウ陛下をお疑い・・・か」
「魔族の気配を感じる」
主の命令通り、ヴィクトル王の傍から離れようとしないアザエルは何の表情も浮かべないままぽつりと溢した。
「何?」
ヴィクトル王が聞き返そうとした瞬間、城内で悲鳴が響き渡った。
まるで図ったかのように、雷鳴を轟かせ、突然窓の外が豪雨に見舞われる。バチンバチンと窓や屋根を叩きつける雨音は、その激しさを物語っていた。
「そのままの意味だ」
冷たい碧い瞳がじっとヴィクトル王を見つめた。
外に青白い閃光が走り、遅れて轟音が鳴り響いた。薄暗い王室の中を、雷光が点滅する明かりのように二人を不気味に照らし出す。
王室の窓からは、既に流れ落ちる雨水により外界の様子は全くといっていい程遮断されていた。
王室の扉が開かれ、真っ青になった侍女が飛び込んで来た。
「陛下・・・! すぐにここからお逃げ下さい!!」
本来ならば、こうして許可もなく王室に入るなどは無礼極まりない愚行であったが、それをも短縮せざるを得ない程、今の状況が切羽詰っていることが見て取れた。
「エメ、一体我が城に何が起こっておる!?」
ヴィクトル王はがたりと椅子から立ち上がると、血相を変えた侍女に問うた。
「陛下、一体どうやったのかはわかりませんが、城内にゴーディア兵が入り込み、城内の兵や侍女を次々に切り捨てています・・・! きっとここへも直ぐ・・・」
雨音と雷鳴に掻き消されながらも、城内で悲鳴が響き続けている。
「まさか・・・、一体どうやって・・・」
フェルデンから連絡を受けてからは、より一層の警戒はしてきたつもりなのに、それはいとも簡単に打ち崩されてしまった。
落城すれば、サンタシは魔族の手に渡ることになり、サンタシの民は魔族の手により不当の扱いを受けることは目に見えていた。
(やはり、クロウ王の裏切りなのか・・・!?)
ちらと碧髪碧眼の男に視線やると、男はふっと冷笑を浮かべ言い放った。
「クロウ陛下をお疑い・・・か」