AKANE
フェルデンの強い言葉に、朱音もぐっと拳を握り締め、首肯した。
「わたしも、貴方とともに戦います。ゴーディアの王として、わたしもヘロルドの暴挙を止めるつもりです」
城に残してきたアザエルが気にかかったが、魔王の片腕と呼ばれた彼が、そう簡単にくたばるとは朱音も考えてはいなかった。
「きっと、まだ間に合いますよ、ヴィクトル陛下は必ず生きてます。アザエルがヴィクトル陛下をきっとお守りしている筈ですから・・・!」
フェルデンは黒曜石の大きな瞳を見つめた。どこまでも澄み、なんて哀しく美しい闇。
このとき、フェルデンは初めて、少年王が自らの側近を兄であるヴィクトル王につけていた事実を知ったのであった。
彼女が今、城内のどのあたりの通路を行っているのかは不明だったが、何にしろ、まだ隠し通路の存在がゴーディア兵に知られていないことだけは確かだった。
王室の扉を蹴破ってゴーディア兵がやって来たのは、エメを行かせてからほんの数分後のことである。
「サンタシ国の国王、ヴィクトル・フォン・ヴォルティーユ陛下とお見受けする」
ゴーディア兵が強い口調で言った。
「如何にも・・・。わたしがこの国の国王、ヴィクトル・フォン・ヴォルティーユだが」
ヴィクトル王は、すっと椅子から立ち上がると、入ってきたゴーディア兵に静かに見つめた。
「この城と城下は、ゴーディア国最高司令官ヘロルド閣下の名の下に、我軍が占拠させていただいた。今、城門を開き、全軍を城へ集結させているところだ。無駄な抵抗はせず、大人しくついてきてもらおうか」
「わたしも、貴方とともに戦います。ゴーディアの王として、わたしもヘロルドの暴挙を止めるつもりです」
城に残してきたアザエルが気にかかったが、魔王の片腕と呼ばれた彼が、そう簡単にくたばるとは朱音も考えてはいなかった。
「きっと、まだ間に合いますよ、ヴィクトル陛下は必ず生きてます。アザエルがヴィクトル陛下をきっとお守りしている筈ですから・・・!」
フェルデンは黒曜石の大きな瞳を見つめた。どこまでも澄み、なんて哀しく美しい闇。
このとき、フェルデンは初めて、少年王が自らの側近を兄であるヴィクトル王につけていた事実を知ったのであった。
彼女が今、城内のどのあたりの通路を行っているのかは不明だったが、何にしろ、まだ隠し通路の存在がゴーディア兵に知られていないことだけは確かだった。
王室の扉を蹴破ってゴーディア兵がやって来たのは、エメを行かせてからほんの数分後のことである。
「サンタシ国の国王、ヴィクトル・フォン・ヴォルティーユ陛下とお見受けする」
ゴーディア兵が強い口調で言った。
「如何にも・・・。わたしがこの国の国王、ヴィクトル・フォン・ヴォルティーユだが」
ヴィクトル王は、すっと椅子から立ち上がると、入ってきたゴーディア兵に静かに見つめた。
「この城と城下は、ゴーディア国最高司令官ヘロルド閣下の名の下に、我軍が占拠させていただいた。今、城門を開き、全軍を城へ集結させているところだ。無駄な抵抗はせず、大人しくついてきてもらおうか」