AKANE
「さてな、知りませぬなぁ。あの我儘国王の考えることなど、側近であれ何であれ、誰も理解などできぬのです。しかしそれに抗うことなどできないのですよ。なんと言っても、クロウ陛下は恐ろしい魔力をお持ちだ。命令に刃向かえば我々の命はありませぬので」
まるで、自分は望まない戦を、クロウの命令で仕方なくさせられているようなヘロルドの物言いに、察しのいいヴィクトル王はぴんときた。
クロウ王の側近どころか、この男は、クロウの立場を利用し、彼を悪者に仕立て上げることで王座を狙っている反逆者であるということを。
やはり、クロウ王がヴィクトル王に話したことは全て真実であった。
今更、ヴィクトル王は疑り深い自らの性質に反省した。
(ふ・・・、いつからだろうな、こんなに疑り深くなったのは。あれは・・・、きっとジゼルが魔族に殺された後からか・・・)
そして、こうも思った。もっとクロウ王の話を信じてやっていれば、何か対策を講じられたかもしれない、と。
「ヘロルド閣下、最後に一つだけ質問させて貰う。そなたの言う、我儘国王クロウ陛下は、今どこにおられる?」
それは、あまりに際どい問いであった。
ヴィクトル王は、鋭い切り口でヘロルドに鎌を掛けたのだ。
「一体何を・・・? クロウ陛下がここにおられないということは、ゴーディアの魔城におられるに決まっておるでしょう」
ヘロルドの顔色がさっと変化したことに、ヴィクトル王は気付いた。
「そうか。一度も魔城を出られてはいないのか?」
ここで一気に畳み掛ける。
「クロウ陛下は覚醒後から今まで、一歩たりとも魔城の外へは出られておりませんな。陛下のお姿は、常人が目にすれば視力を失うとも言われております故」
まだ白を切るヘロルドに、ヴィクトル王は止めの言葉を突きつけた。
まるで、自分は望まない戦を、クロウの命令で仕方なくさせられているようなヘロルドの物言いに、察しのいいヴィクトル王はぴんときた。
クロウ王の側近どころか、この男は、クロウの立場を利用し、彼を悪者に仕立て上げることで王座を狙っている反逆者であるということを。
やはり、クロウ王がヴィクトル王に話したことは全て真実であった。
今更、ヴィクトル王は疑り深い自らの性質に反省した。
(ふ・・・、いつからだろうな、こんなに疑り深くなったのは。あれは・・・、きっとジゼルが魔族に殺された後からか・・・)
そして、こうも思った。もっとクロウ王の話を信じてやっていれば、何か対策を講じられたかもしれない、と。
「ヘロルド閣下、最後に一つだけ質問させて貰う。そなたの言う、我儘国王クロウ陛下は、今どこにおられる?」
それは、あまりに際どい問いであった。
ヴィクトル王は、鋭い切り口でヘロルドに鎌を掛けたのだ。
「一体何を・・・? クロウ陛下がここにおられないということは、ゴーディアの魔城におられるに決まっておるでしょう」
ヘロルドの顔色がさっと変化したことに、ヴィクトル王は気付いた。
「そうか。一度も魔城を出られてはいないのか?」
ここで一気に畳み掛ける。
「クロウ陛下は覚醒後から今まで、一歩たりとも魔城の外へは出られておりませんな。陛下のお姿は、常人が目にすれば視力を失うとも言われております故」
まだ白を切るヘロルドに、ヴィクトル王は止めの言葉を突きつけた。