AKANE
アザエルが叫び、二人の跨る馬の前に飛び出したと同時、人程の大きさもある、巨大な炎弾が直撃した。
朱音は炎弾が巻き起こした凄まじい熱風に、馬ごと吹き飛ばされた。
「うっ」
背中にひどい痛みを感じ、朱音はゆっくりと目を開けた。
乗っていた馬は、離れた場所に横たわって苦しそうに呻いている。
ふと、自分が誰かの腕の中で庇われていたことに気付き、のろのろとその人の顔を仰いだ。
「ああ・・・、またあんたに借り作っちゃったね」
朱音は情けなさに涙が出そうになった。
碧く美しい髪と、美しい横顔。あの月夜の晩に朱音を攫ったときと同じように、アザエルは朱音をその腕に抱えていた。
じゅうじゅうと音を立て、炎弾がえぐった地面はをぽっかりと大きな穴を空け、煙を上げている。その向こう側で、フェルデンがこちらを見つめているのが見える。
「陛下、申し訳ありません・・・、お怪我を・・」
いつもは表情一つ変えないアザエルが、こんなにも慌てた顔を嘗て見たことがあっただろうか。
「なんであんたが謝るの? わたしこそ謝やらなきゃ。いつも足引っ張っちゃって、ごめんね。わたしは大丈夫だから」
背中が痛むのは、ただの怪我ではないだろう。朱音は片方の手を背に回し、そっと触れた。
そしてほんの少し笑った。
(こりゃ痛いわけだ、なんか突き刺さってるし)
爆風の際に吹きば飛ばされた木片が、背に突き刺ささっているらしい。
朱音は炎弾が巻き起こした凄まじい熱風に、馬ごと吹き飛ばされた。
「うっ」
背中にひどい痛みを感じ、朱音はゆっくりと目を開けた。
乗っていた馬は、離れた場所に横たわって苦しそうに呻いている。
ふと、自分が誰かの腕の中で庇われていたことに気付き、のろのろとその人の顔を仰いだ。
「ああ・・・、またあんたに借り作っちゃったね」
朱音は情けなさに涙が出そうになった。
碧く美しい髪と、美しい横顔。あの月夜の晩に朱音を攫ったときと同じように、アザエルは朱音をその腕に抱えていた。
じゅうじゅうと音を立て、炎弾がえぐった地面はをぽっかりと大きな穴を空け、煙を上げている。その向こう側で、フェルデンがこちらを見つめているのが見える。
「陛下、申し訳ありません・・・、お怪我を・・」
いつもは表情一つ変えないアザエルが、こんなにも慌てた顔を嘗て見たことがあっただろうか。
「なんであんたが謝るの? わたしこそ謝やらなきゃ。いつも足引っ張っちゃって、ごめんね。わたしは大丈夫だから」
背中が痛むのは、ただの怪我ではないだろう。朱音は片方の手を背に回し、そっと触れた。
そしてほんの少し笑った。
(こりゃ痛いわけだ、なんか突き刺さってるし)
爆風の際に吹きば飛ばされた木片が、背に突き刺ささっているらしい。