AKANE
朱音はこの声を知っていた。
「ファウスト・・・!」
燃え盛る炎のごとく赤い髪の青年は、屋根の上で愉快そうに笑った。何事も無かったかのように、腰に手をあてつまらなさそうに朱音達を見下ろしていた。
朱音は背に走る痛みに呻きながらも、アザエルの腕から立ち上がり、緋色の瞳を強く見上げた。
「わたしはあんたを許さない!!」
朱音は胸のペンダントを握り締め、喉が裂けるのではないかという程に強く叫んでいた。
「そうか。それじゃあ俺を止めてみな」
すっくと立ち上がったファウストは、まるで鬼ごっこでも始めるかのように、ぺんぺんとおどけて自らの尻と叩いた。
「言っとくが、俺を止めるには俺を殺すしか道は無いぜ。俺は今から王都を燃やし尽くした後、サンタシ全土を灰に変えてやる」
緋の眼をギラつかせ、ファウストは軽い足取りで王都の民家の屋根から屋根へと飛び移り、月夜の下を駆けていく。
朱音はアザエルにそっと耳打ちする。
「陛下、本当によろしいのですか?」
「うん、自分じゃできないから、あんたがやって」
アザエルは、そっと少年王の背に突き刺さった木片に手を添えた。
「陛下、失礼致します」
囁くように言った後、今までとは比べものにならない程の痛みが走った。
「うああ!!」
痛みに呻き、朱音は一瞬気が遠くなって倒れ込みそうになるが、その肩をアザエルに支えられてなんとか踏みとどまることができた。
「ありがと・・・。早くファウストを止めないと・・・」
そうする間にも、ファウストは無差別に炎弾を放ち、街の破壊を遂行している。
「ファウスト・・・!」
燃え盛る炎のごとく赤い髪の青年は、屋根の上で愉快そうに笑った。何事も無かったかのように、腰に手をあてつまらなさそうに朱音達を見下ろしていた。
朱音は背に走る痛みに呻きながらも、アザエルの腕から立ち上がり、緋色の瞳を強く見上げた。
「わたしはあんたを許さない!!」
朱音は胸のペンダントを握り締め、喉が裂けるのではないかという程に強く叫んでいた。
「そうか。それじゃあ俺を止めてみな」
すっくと立ち上がったファウストは、まるで鬼ごっこでも始めるかのように、ぺんぺんとおどけて自らの尻と叩いた。
「言っとくが、俺を止めるには俺を殺すしか道は無いぜ。俺は今から王都を燃やし尽くした後、サンタシ全土を灰に変えてやる」
緋の眼をギラつかせ、ファウストは軽い足取りで王都の民家の屋根から屋根へと飛び移り、月夜の下を駆けていく。
朱音はアザエルにそっと耳打ちする。
「陛下、本当によろしいのですか?」
「うん、自分じゃできないから、あんたがやって」
アザエルは、そっと少年王の背に突き刺さった木片に手を添えた。
「陛下、失礼致します」
囁くように言った後、今までとは比べものにならない程の痛みが走った。
「うああ!!」
痛みに呻き、朱音は一瞬気が遠くなって倒れ込みそうになるが、その肩をアザエルに支えられてなんとか踏みとどまることができた。
「ありがと・・・。早くファウストを止めないと・・・」
そうする間にも、ファウストは無差別に炎弾を放ち、街の破壊を遂行している。