AKANE
「なかなか立派な飛竜をお持ちじゃねぇか、クロウ陛下」
赤い鱗の飛竜の背に跨り、朱音達の頭上を旋回しながらファウストが言った。
彼の飛竜はスキュラよりも一回り程大きく、成長した優雅な動きだ。
「ファウスト、絶対に逃がさないから・・・!」
ぎっと緋色の眼を睨み返すと、朱音はスキュラに小さく耳打ちした。
「飛竜を扱える奴が俺の他にこの世界にいたとは思わなかったぜ、クロウ陛下。俺を追って来い」
ファウストは赤い飛竜の上でにっと笑いを浮かべると、大空へ舞い上がった。
「アザエル、竜巻を止めた後わたしもすぐに向かうから、あいつを足止めしておいて」
スキュラは朱音は背を差し出すように地に伏せると、大きな目で朱音を見つめ返してきた。
「スキュラ、アザエルをお願いね」
アザエルは静かに礼をとると、スキュラの背に跨った。
飛ぶことの楽しい幼い竜の子スキュラ。畳んでいた真っ黒い翼を広げると、一羽ばたきでぐんと雲の近くまで飛び上がった。
(あんたたちの好きにさせてなんかあげないから・・・!)
朱音はぐっと拳を握り締め、王都の目前まで迫った竜巻を見上げた。これ以上の王都の破壊をここで食い止めなければならない。あの竜巻に飲まれでもすれば、王都は塵だけを残してきっと消滅してしまうだろう。
まだ、この王都には多くの人々が生き存えている。ヴィクトル王やフェルデンが愛し、守ろうとしたこの国を、ここで諦めることなどできはしない。
「クロウ陛下、到着が遅くなってしまいました」
振り向くと、銀の獅子に跨るライシェルの姿がそこにあった。
赤い鱗の飛竜の背に跨り、朱音達の頭上を旋回しながらファウストが言った。
彼の飛竜はスキュラよりも一回り程大きく、成長した優雅な動きだ。
「ファウスト、絶対に逃がさないから・・・!」
ぎっと緋色の眼を睨み返すと、朱音はスキュラに小さく耳打ちした。
「飛竜を扱える奴が俺の他にこの世界にいたとは思わなかったぜ、クロウ陛下。俺を追って来い」
ファウストは赤い飛竜の上でにっと笑いを浮かべると、大空へ舞い上がった。
「アザエル、竜巻を止めた後わたしもすぐに向かうから、あいつを足止めしておいて」
スキュラは朱音は背を差し出すように地に伏せると、大きな目で朱音を見つめ返してきた。
「スキュラ、アザエルをお願いね」
アザエルは静かに礼をとると、スキュラの背に跨った。
飛ぶことの楽しい幼い竜の子スキュラ。畳んでいた真っ黒い翼を広げると、一羽ばたきでぐんと雲の近くまで飛び上がった。
(あんたたちの好きにさせてなんかあげないから・・・!)
朱音はぐっと拳を握り締め、王都の目前まで迫った竜巻を見上げた。これ以上の王都の破壊をここで食い止めなければならない。あの竜巻に飲まれでもすれば、王都は塵だけを残してきっと消滅してしまうだろう。
まだ、この王都には多くの人々が生き存えている。ヴィクトル王やフェルデンが愛し、守ろうとしたこの国を、ここで諦めることなどできはしない。
「クロウ陛下、到着が遅くなってしまいました」
振り向くと、銀の獅子に跨るライシェルの姿がそこにあった。