AKANE
ゆっくりと、掴んでいた朱音の手を解くと、クリストフは穏やかな目を朱音向けた。
「だめっ!」
朱音が解かれた手をもう一度クリストフの腕に絡ませようとした瞬間、クリストフは自らを黒い風の渦の中に飛び込んだ。そして、朱音の手は大きく宙を切る。
ただ、『ごおごお』という渦巻く風の音が木霊し、その中心に朱音は一人取り残される。
この豪風に飲まれたら、いくら彼であろうとも一溜まりもない。
「やあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
朱音は悲鳴にならない声を上げた。
「陛下、落ち着いて・・・。陛下は万物と共鳴することのできる魔力をお持ちなのです。こんなちっぽけな風くらい、陛下にとってはなんの障害でも無い筈です」
涙で霞む視界に、優しいルイの姿がそっと姿を現す。
「ルイ・・・、わたしには何の力も無いんだよ。もう、クリストフさんは死んでしまったかもしれない・・・!」
すると、ルイは優しく答えた。
「いいえ、陛下。僕は決して陛下の幻想なんかじゃありません。見えなくとも僕はいつだって、陛下の傍にお仕えしています。そして、僕は強く感じるんです。陛下の偉大な力を・・・」
朱音は驚き胸にしまってあったペンダントを取り出した。
「痛っ!」
慌てて取り出したせいか、誤ってペンダントからナイフの刃に変形させてしまった拍子に、朱音は自らの手の平を切ってしまった。
顔を上げると、さっきまで確かにいたルイの姿が無くなっている。
「だめっ!」
朱音が解かれた手をもう一度クリストフの腕に絡ませようとした瞬間、クリストフは自らを黒い風の渦の中に飛び込んだ。そして、朱音の手は大きく宙を切る。
ただ、『ごおごお』という渦巻く風の音が木霊し、その中心に朱音は一人取り残される。
この豪風に飲まれたら、いくら彼であろうとも一溜まりもない。
「やあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
朱音は悲鳴にならない声を上げた。
「陛下、落ち着いて・・・。陛下は万物と共鳴することのできる魔力をお持ちなのです。こんなちっぽけな風くらい、陛下にとってはなんの障害でも無い筈です」
涙で霞む視界に、優しいルイの姿がそっと姿を現す。
「ルイ・・・、わたしには何の力も無いんだよ。もう、クリストフさんは死んでしまったかもしれない・・・!」
すると、ルイは優しく答えた。
「いいえ、陛下。僕は決して陛下の幻想なんかじゃありません。見えなくとも僕はいつだって、陛下の傍にお仕えしています。そして、僕は強く感じるんです。陛下の偉大な力を・・・」
朱音は驚き胸にしまってあったペンダントを取り出した。
「痛っ!」
慌てて取り出したせいか、誤ってペンダントからナイフの刃に変形させてしまった拍子に、朱音は自らの手の平を切ってしまった。
顔を上げると、さっきまで確かにいたルイの姿が無くなっている。