AKANE
「やっと追いついた! ファウストを止めるのにお前の力が必要だ! 乗れ!!」
フェルデンは手を差し出した。
朱音はこくりと頷き、立ち上がる。
「アカネさん、今なら貴女を助けられるかもしれない。友人のわたしが止めても無駄でしょうか・・・?」
珍しくも、クリストフが懇願するかのように朱音の手を掴むが、朱音はその手をゆっくりと離した。
「ごめんなさい、クリストフさん。今行かないと、わたしはきっと後悔します・・・。だから・・・」
哀しそうに微笑むと、クリストフは解けた手をぐっと握り締めた。
まだ彼の息はひどく荒い。
朱音はフェルデンの差し出す手を力強く掴んだ。逞しく優しい彼の手は、ひどく温かかった。
「行くぞ! アザエルが王都の外れで奴を足止めしている・・・!」
フェルデンは白馬の腿を強く蹴った。馬は風のように駆け出す。
走り去っていく白馬の姿を見つめながら、クリストフは悲しい笑みを浮かべて呟いた。
「わたしは悪い男だ・・・。わたしはあの儀式の日、参列者に交じって、全てを見ていたんです。覚醒したクロウの中身が貴女だとを知って、わたしは貴女を利用した・・・。君なら、この世界の魔族と人間の争いを止めることができるかもしれないと、わざと城の外へ連れ出したのですから・・・」
そして、焦げ茶の瞳から一滴の泪を溢した。
フェルデンは手を差し出した。
朱音はこくりと頷き、立ち上がる。
「アカネさん、今なら貴女を助けられるかもしれない。友人のわたしが止めても無駄でしょうか・・・?」
珍しくも、クリストフが懇願するかのように朱音の手を掴むが、朱音はその手をゆっくりと離した。
「ごめんなさい、クリストフさん。今行かないと、わたしはきっと後悔します・・・。だから・・・」
哀しそうに微笑むと、クリストフは解けた手をぐっと握り締めた。
まだ彼の息はひどく荒い。
朱音はフェルデンの差し出す手を力強く掴んだ。逞しく優しい彼の手は、ひどく温かかった。
「行くぞ! アザエルが王都の外れで奴を足止めしている・・・!」
フェルデンは白馬の腿を強く蹴った。馬は風のように駆け出す。
走り去っていく白馬の姿を見つめながら、クリストフは悲しい笑みを浮かべて呟いた。
「わたしは悪い男だ・・・。わたしはあの儀式の日、参列者に交じって、全てを見ていたんです。覚醒したクロウの中身が貴女だとを知って、わたしは貴女を利用した・・・。君なら、この世界の魔族と人間の争いを止めることができるかもしれないと、わざと城の外へ連れ出したのですから・・・」
そして、焦げ茶の瞳から一滴の泪を溢した。