AKANE
19話 魔王降臨
クロウとアザエルは赤き竜の背に、フェルデンはスキュラの背に乗り、王都へと戻って来ていた。
片羽を失った赤い竜が、町外れの森の中で震えているのをクロウが見つけ、血の契約を結んだのだ。
赤き竜には、クロウは血の契約と引き換えに、失った身体の部分を何度でも再生できる力を授けた。そのお蔭で、赤き竜は新たな主人を得、新しい羽も得ることができたのだ。
しかし、王都は、すでにザルティスの軍に占拠されていた。
当初は数千の兵と考えていたザルティスの軍の規模だったが、これから判断するに、数千を優に超した数万はありそうである。
「僕を国外に逃がさない為に、あちこちに兵を散りばめたんだね・・・。この手回し、ほんと母上らしいよ」
ふっと悲しい笑みを溢すと、アザエルに言った。
「ね、これじゃあどこに降りても一緒だよ。ここら辺で降ろしてくれる?」
スキュラはクロウの言った通りに、くるりと空中で旋回すると、降下を始める。
破壊された王都の建物がはっきりと見え始めたとき、数百の矢が天に向けて放たれた。
「すごい歓迎だな・・・」
フェルデンは剣を抜き、次々と降り注ぐ矢を斬撃で薙ぎ落としてゆく。