AKANE
 フェルデンが何か得策が無いか考えを巡らせる。しかし、剣を振るう手は休める暇も無い。
「くそっ」
 背に傷を負い、一人の騎士がよろめいた。仲間の騎士がフォローするが、その騎士達も疲労で随分動きが鈍くなりつつある。騎士達の中にも傷を負う者も多く出始めてきていた。このままでは、そう長くは持たない。
「アレクシ!! おれが奴らの気を引いておく隙に一旦退け!! このままでは犠牲が出る!!」
「で、でも・・・!」
 国王を残したまま退くなどということは考えられず、アレクシは踏み止まろうとする。
「国王陛下のご命令だ、アレクシ! ここはわたしが陛下を助太刀する。行
け!!」
 ディートハルトが力強く言った。
 アレクシはそんな屈強な戦士の言葉にこくりと頷き、叫んだ。
「一旦退却するぞ! 続け!!」
 その声と同時に、フェルデンが全神兵に向けて大声で言い放った。
「よく聞け、ザルティスの神兵ども! 創造主の元に集いし革命軍だと!? 笑わせるな。我らサンタシが崇め敬う創造主は、我ら人の子を愛し、何より平和を望まれている。お前達は偽神兵以外の何者でもない!! 自らの正義の為に神を利用し、冒涜するだけの偽善者どもにすぎない!!」
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