AKANE
 その声に、多くの神兵が怒りを露わにしてフェルデンを睨みつけた。自らが信じる“創造主”にケチをつけ、その上偽者扱いされたのだ、黙ってはいられまい。
「なんだと!? 我らザルティスの神兵を愚弄する気か!! いくらサンタシの国王と言えど、それだけは許しがたい!!」
 神兵の目が怒りに満ちてゆくのがありありと伺えた。
 そのお蔭か、仲間の騎士達はとりあえずの退却に成功していた。
だが、怒りを買ってしまったフェルデン達の立場が悪くなったことに変わりは無い。
「余計なことを」
 アザエルは煩わしそうに呟く。
「教えてやろう、サンタシの王よ! 我らザルティスの神兵が創造主のお告げにより選ばれし特別な兵であることをな!!」
 一層勢いを増した神兵達の攻撃に、フェルデン、ディートハルト、アザエルは剣を構え直した。
「ごめん、フェルデン。今よりこの土地を酷い状態にしたくなかったんだけど、許してよね」
 クロウがフェルデンに申し訳なさそうに僅かに肩を竦める。
 フェルデンがその理由を聞き返すよりも先に、『ゴゴゴゴゴゴ・・・』という地鳴りが響き、大地が大きく揺れ始めた。地面が割れ、この亀裂に次々と大勢の神兵が塵のように落ちていく。地面は、三人の居る場所だけを残して、沈下と隆起を激しく繰り返し始めた。
「わああああああああああっ」
 神兵達の悲鳴が響く中、まだ王都の名残を残していた建物達が、あれよという間に土にのまれ姿を消していく姿を見て、フェルデンは驚きを隠せなかった。
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