AKANE
今や彼は一人ではなかった。
「どういうことだ、クロウ。父に刃向かうか」
強い目でルシファーを見つめると、クロウは言った。
「父上。僕はここで殺られる訳にはいきません。この国の為に、ゴーディアの為に、そしてこの世界レイシアの為に、僕はしなければならないことがあるのです!!」
不愉快そうに目を細めると、ルシファーは吐き捨てるように言った。
「この世界が必要としているのは強き支配者。強き者が支配する世こそが平和ではないか」
「父上、支配は何も生みません。人々が自由で幸せに暮らせることこそが真の平和なのです」
父に引けをとらないクロウの言葉に、フェルデンはこの少年王こそがこの世界に真の平和を創り出せるのではないかという確信をした。
「愛を知らず、ずっと孤独に生きてきたお前に“人々の幸せ”の何がわかる」
ぐっと唇を噛み締めると、クロウはルシファーを真っ直ぐに見返した。
「確かに、ぼくは愛を知らずにいました。ですが、ぼくはある友人から教わったのです。たとえ愛されることが無くとも、“人を愛する幸せ”を・・・」
ルシファーはくすりと笑いを溢すと、自らの黒翼から数枚の羽を抜き、それをふわりと宙に舞い上げた。羽は、宙を舞ううちに、ぼこぼこと生き物のように蠢き、そしてみるみる膨らんでゆく。
「な、なに・・・!?」
ディートハルトが大剣を構える。
むくむくと形づくられたそれは、ちょうど人の顔程の大きさの奇妙な生物に変化した。
前進真っ黒な羽毛に覆われ、目はギラギラと銀に光り、凶暴そうな大きな口から鋭い牙を見え隠れさせている。それは小さな羽根が生え、ぱたぱたと素早い動きで自由にルシファーの回りを飛び回った。
「あれは、マブ・・・。ああ見えてすごく凶暴で頭がいい・・・」
クロウは既に見知っている口振りで、ディートハルトに答えた
「どういうことだ、クロウ。父に刃向かうか」
強い目でルシファーを見つめると、クロウは言った。
「父上。僕はここで殺られる訳にはいきません。この国の為に、ゴーディアの為に、そしてこの世界レイシアの為に、僕はしなければならないことがあるのです!!」
不愉快そうに目を細めると、ルシファーは吐き捨てるように言った。
「この世界が必要としているのは強き支配者。強き者が支配する世こそが平和ではないか」
「父上、支配は何も生みません。人々が自由で幸せに暮らせることこそが真の平和なのです」
父に引けをとらないクロウの言葉に、フェルデンはこの少年王こそがこの世界に真の平和を創り出せるのではないかという確信をした。
「愛を知らず、ずっと孤独に生きてきたお前に“人々の幸せ”の何がわかる」
ぐっと唇を噛み締めると、クロウはルシファーを真っ直ぐに見返した。
「確かに、ぼくは愛を知らずにいました。ですが、ぼくはある友人から教わったのです。たとえ愛されることが無くとも、“人を愛する幸せ”を・・・」
ルシファーはくすりと笑いを溢すと、自らの黒翼から数枚の羽を抜き、それをふわりと宙に舞い上げた。羽は、宙を舞ううちに、ぼこぼこと生き物のように蠢き、そしてみるみる膨らんでゆく。
「な、なに・・・!?」
ディートハルトが大剣を構える。
むくむくと形づくられたそれは、ちょうど人の顔程の大きさの奇妙な生物に変化した。
前進真っ黒な羽毛に覆われ、目はギラギラと銀に光り、凶暴そうな大きな口から鋭い牙を見え隠れさせている。それは小さな羽根が生え、ぱたぱたと素早い動きで自由にルシファーの回りを飛び回った。
「あれは、マブ・・・。ああ見えてすごく凶暴で頭がいい・・・」
クロウは既に見知っている口振りで、ディートハルトに答えた