AKANE
今度は先程よりも多い数。
「お遊びはそろそろ終わりにしよう。残念だが、わたしはお前を殺さねばならない」
空に舞い上がった黒い羽は見る間にマブへと形を変え、戦闘態勢をとっている。
一方、ルシファーはすっくと遺体の上に立つと、蒼黒の髪を妖しくなびかせクロウに向き直った。
「あの二人の邪魔が入る前に殺せ」
ルシファーの口から命(めい)が下り、マブはぎらりと銀の眼を光らせながら、毒にあてられたディートハルトとフェルデンに飛び掛った。
「父上!!」
「自分のことを心配しろ、クロウ」
クロウの知る父とは考えられない程冷徹な目を向け、ルシファーは宙に舞い上がった。
空では、数匹のマブが飛竜達にも襲い掛かっている。
「クロウ、お前の存在は罪だ。父が責任をもってお前を消す」
ルシファーの手には、黒い靄が集まり、それはみるみるうちに不気味な首切り鎌へと形作られていく。
鎌は青白い電気をバチバチと放ち、柄の先には自在に伸びる黒き鎖ががっしりと繋がっている。これこそが、魔王とクロウの魔力のもう一つの大きな力であった。
二人は、この世界に存在するあらゆる物質を思いのままに変化、再構築することで物体を創造することができるのだ。
「おれたちは大丈夫だ、行け、クロウ」
辛くない筈など無いだろうに、フェルデンはまるで何でも無いかのように、襲い掛かるマブに剣を振るう。
「その通りですぞ、クロウ陛下。老いぼれてはいるが、わたしもこのフェルデン陛下の師でもありますからな。そう簡単には殺られてはやりませぬぞ」
顔面のケロイドの傷を引き攣らせ、ディートハルトがにかりと笑った。
本当は、今すぐにでもこのマブ達を処分したい思いでいっぱいのクロウであったが、今ここでこの数のマブを一匹一匹握り潰すとなると、ルシファーの思う壷となってしまうことはわかっていた。だからこそ、クロウは二人を信じこくりと頷くしかなかったのだ。
「お遊びはそろそろ終わりにしよう。残念だが、わたしはお前を殺さねばならない」
空に舞い上がった黒い羽は見る間にマブへと形を変え、戦闘態勢をとっている。
一方、ルシファーはすっくと遺体の上に立つと、蒼黒の髪を妖しくなびかせクロウに向き直った。
「あの二人の邪魔が入る前に殺せ」
ルシファーの口から命(めい)が下り、マブはぎらりと銀の眼を光らせながら、毒にあてられたディートハルトとフェルデンに飛び掛った。
「父上!!」
「自分のことを心配しろ、クロウ」
クロウの知る父とは考えられない程冷徹な目を向け、ルシファーは宙に舞い上がった。
空では、数匹のマブが飛竜達にも襲い掛かっている。
「クロウ、お前の存在は罪だ。父が責任をもってお前を消す」
ルシファーの手には、黒い靄が集まり、それはみるみるうちに不気味な首切り鎌へと形作られていく。
鎌は青白い電気をバチバチと放ち、柄の先には自在に伸びる黒き鎖ががっしりと繋がっている。これこそが、魔王とクロウの魔力のもう一つの大きな力であった。
二人は、この世界に存在するあらゆる物質を思いのままに変化、再構築することで物体を創造することができるのだ。
「おれたちは大丈夫だ、行け、クロウ」
辛くない筈など無いだろうに、フェルデンはまるで何でも無いかのように、襲い掛かるマブに剣を振るう。
「その通りですぞ、クロウ陛下。老いぼれてはいるが、わたしもこのフェルデン陛下の師でもありますからな。そう簡単には殺られてはやりませぬぞ」
顔面のケロイドの傷を引き攣らせ、ディートハルトがにかりと笑った。
本当は、今すぐにでもこのマブ達を処分したい思いでいっぱいのクロウであったが、今ここでこの数のマブを一匹一匹握り潰すとなると、ルシファーの思う壷となってしまうことはわかっていた。だからこそ、クロウは二人を信じこくりと頷くしかなかったのだ。