AKANE
“サンタシ国新国王、フェルデン・フォン・ヴォルティーユ陛下。
王都の復興の助けになるかはわからないが、我国から数十隻の船を向かわせた。その全てに必要となる資源を積載させている。腕に覚えのある職人も向かわせたが、それ以上に必要な物資等があれば、遠慮なく遣いの者に文を持たせてくれ。
それから、我国も現在腐った内部の宛建て直しを図っている。もう少しして落ち着いた頃を見計らい、貴国を訪問する意向だ。その際には、サンタシとゴーディアが正式に同盟を結ぶことを望む。それまでにその心積もりを。”
読み終えた後、フェルデンはふっと透けるようなブラウンの瞳をファウストに向けた。
「お前には悪いが、もう一仕事して貰う」
「なんだと!?」
ファウストの抗議を無視し、フェルデンは含みのある笑いを溢した。
「残念だったな、お前の主であるクロウ陛下がお前を文係として扱使えということでな」