AKANE
(アカネとクロウが同じ魂だと・・・!?)
 それはあまりに衝撃的な事実だったが、フェルデンには、今までのできごとを考えると、それはいかに自然なことか納得できた。朱音の魂が特別なものだったからこそ、自身が強く惹かれていったのかもしれないと、なぜかすんなりと受け入れることができたのだ。
「わたしも初めはそんなこと信じられなかった。だけど、本当のことだった・・・」
 朱音の話が本当だとすると、一つの魂で二つの肉体を持っているということになる。
「貴方を追って旅に出て、たくさんのことを経験して、色んな人達と出会って分かったの。クロウの生まれ変わりだってことも全部ひっくるめて今のわたしなんだってこと。クロウとはまた違う、わたしという人間なんだ」
 今まで覆い隠してきた部分を全て打ち明けたことで、朱音の心は羽のように軽かった。あとはフェルデンにどう受け取られるかということだけが、朱音にとって大きな問題でもあった。
 フェルデンは黄味を帯びた少女の頬に手を添えると、静かに言った。
「ああ、君は君だ」
 じわりと朱音の視界が滲んだ。
 受け入れられている。そんな安堵感が朱音を包み込んでいた。
「ありがとう、フェルデン・・・。それとね、旅の中でもう一つ分かったことがあったの」
 ぽろぽろと零れ落ちてくる涙の雫を切なげに見つめ、その一つひとつを指で拭い去りながらフェルデンは頷いた。
「フェルデン、わたし・・・、貴方がすごくすごく大好きなの・・・! 貴方を失いたくない・・・! 貴方がとても大切だから、わたし・・・!」
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