AKANE
そんな少年の優しさを内心で嬉しく思いながら、朱音はくすりと静かに笑った。
「でね、ロラン。あなたに渡さなきゃいけないものがあるんだ」
今度はしっかりと身体ごと少年に向き直り、朱音は真面目な面持ちで伝えた。
かちゃりと鎖の音をさせて、朱音は胸元にしまってあるあのペンダントを黙って握り締めた。意を決したようにそれを首から取り外し、自分よりも幼く見える術師の少年の手に握らせる。
「これは・・・」
「ルイのだよ」
今まで冷静を装っていた少年の霞みがかった大きな茶の目が、一層大きく見開かれた。
「どうしてお前がこれを・・・?」
すっかり気配りもできない程余裕を失くした少年が、思わず朱音の腕を強く掴む。
朱音はそんな痛みに顔を顰(しか)めることなく言葉を続けた。
「アザエルに連れられてゴーディアへ渡った後、魔城であなたそっくりの子に出会ったんだ。初めは、ロラン、あなただと思った」
そのときのことを懐かしむように、朱音は静かに目を閉じた。
「だけど、その子はルイと名乗った。彼はいつもわたしの側で助けてくれた。わたしは彼が大好きで、わたしたちはすぐに友達になった」
あの心優しい少年の姿を思い出すと、今でも心が穏やかになる。
「ある日、ルイは自分とロランは双子だと話してくれた」
しばらく魔城で生活していた朱音ならば、双子の兄であるルイを知っていたとしてもなんの不思議も無かった筈だ。けれど、ロランはなぜか嫌な予感がしていた。
「でね、ロラン。あなたに渡さなきゃいけないものがあるんだ」
今度はしっかりと身体ごと少年に向き直り、朱音は真面目な面持ちで伝えた。
かちゃりと鎖の音をさせて、朱音は胸元にしまってあるあのペンダントを黙って握り締めた。意を決したようにそれを首から取り外し、自分よりも幼く見える術師の少年の手に握らせる。
「これは・・・」
「ルイのだよ」
今まで冷静を装っていた少年の霞みがかった大きな茶の目が、一層大きく見開かれた。
「どうしてお前がこれを・・・?」
すっかり気配りもできない程余裕を失くした少年が、思わず朱音の腕を強く掴む。
朱音はそんな痛みに顔を顰(しか)めることなく言葉を続けた。
「アザエルに連れられてゴーディアへ渡った後、魔城であなたそっくりの子に出会ったんだ。初めは、ロラン、あなただと思った」
そのときのことを懐かしむように、朱音は静かに目を閉じた。
「だけど、その子はルイと名乗った。彼はいつもわたしの側で助けてくれた。わたしは彼が大好きで、わたしたちはすぐに友達になった」
あの心優しい少年の姿を思い出すと、今でも心が穏やかになる。
「ある日、ルイは自分とロランは双子だと話してくれた」
しばらく魔城で生活していた朱音ならば、双子の兄であるルイを知っていたとしてもなんの不思議も無かった筈だ。けれど、ロランはなぜか嫌な予感がしていた。