AKANE
「ルイは・・・、ルイはどうしてた?」
「あなたをすごく恋しがってた。離ればなれになってしまったことをすごく悔やんで、あなたに会いたがってたよ」
 ロランは受け取ったペンダントに視線を落とした。自らが肌身離さず首に下げているペンダントと対のそれは、ひどく懐かしい。
「今、ルイは・・・」
 ロランが重い口を開いたと同時に、朱音は静かに告げた。
「ルイはもういない・・・」
 確かに、少年の瞳が大きく揺らいだ。ペンダントを握る手が僅かに震えるのが朱音にも感じ取れた。
「い・・・ない・・・?」
「ごめんなさい。わたしは大切なあなたの弟を守れなかった・・・」
 ロランの嫌な予感は的中した。彼は魔族の血を半分引く自分達の長い寿命の中で、いつか分身でもある双子の兄とどこかで会えることを密かに期待していたのかもしれない。
「ルイが・・・、死・・・んだ?」
 朱音は黙ってロランの手に自らの手をそっと乗せた。その頬を伝って、幾粒の雫が二人の手の甲にぱたぱたと落ちてゆく。
「このペンダント、ルイがお母さんから貰ったとても大切なものだって話していたから、あなたに渡さなきゃって」
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