AKANE
「パーティー会場を抜け出し、こんな離れた薄暗い場所で、何かお探しかな?」
突如背後から声がし、フェルデンは慌てて飛び退いた。
薄暗闇の中、不気味に碧い目がぎらぎらと光る。長い碧髪は片方に寄せて紐で結わええられていた。
(全く気配を感じなかった・・・!)
フェルデンは氷のように冷ややかな男の笑みを恐ろしい思いで見据えた。
「フェルデン・フォン・ヴォルティーユ、気付かなかったのか? 地下牢は湿気と水でそこらじゅう濡れていただろう?」
くすりとアザエルは口元を歪めた。
フェルデンもアザエルの能力についてはよく知っていた。水を魔術により自由に操り、場合によっては空気中の水分でさえ武器にも変えてしまうことができる悪魔の力。セレネの森でフェルデン自ら、そしてロランや兵士が襲われたあの不気味などす黒い武器は、今考えると死んだ兵の血液だったに違いない。
「そうか・・・、水で結界を・・・」
フェルデンはふっと苦い笑みを零した。どこまでも一枚上手な相手に、両手を挙げることしかできないことが惨めすぎて、本当なら大声で笑い出したい気分だった。
「裏切り者のの犬、ロラン程のものではないがな。地下牢は目が行き届きにくいのでな、人が入り込むとわかるようにしてある」
アザエルはフェルデンの正面に立つと、床面にある黒石の一つをこつんと踏みつけた。
途端、ギギギと音を立て、先程までいくら押しても引いても開かなかった石壁の扉がゆっくりと開き始めた。
突如背後から声がし、フェルデンは慌てて飛び退いた。
薄暗闇の中、不気味に碧い目がぎらぎらと光る。長い碧髪は片方に寄せて紐で結わええられていた。
(全く気配を感じなかった・・・!)
フェルデンは氷のように冷ややかな男の笑みを恐ろしい思いで見据えた。
「フェルデン・フォン・ヴォルティーユ、気付かなかったのか? 地下牢は湿気と水でそこらじゅう濡れていただろう?」
くすりとアザエルは口元を歪めた。
フェルデンもアザエルの能力についてはよく知っていた。水を魔術により自由に操り、場合によっては空気中の水分でさえ武器にも変えてしまうことができる悪魔の力。セレネの森でフェルデン自ら、そしてロランや兵士が襲われたあの不気味などす黒い武器は、今考えると死んだ兵の血液だったに違いない。
「そうか・・・、水で結界を・・・」
フェルデンはふっと苦い笑みを零した。どこまでも一枚上手な相手に、両手を挙げることしかできないことが惨めすぎて、本当なら大声で笑い出したい気分だった。
「裏切り者のの犬、ロラン程のものではないがな。地下牢は目が行き届きにくいのでな、人が入り込むとわかるようにしてある」
アザエルはフェルデンの正面に立つと、床面にある黒石の一つをこつんと踏みつけた。
途端、ギギギと音を立て、先程までいくら押しても引いても開かなかった石壁の扉がゆっくりと開き始めた。