不良の印


「二度と俺の女に手ぇ出すんじゃねえぞ」


ぶんぶんと首を縦に振る男


「分かったらとっとと失せな」


ドンッと離して、そそくさと逃げてく男


ホントだ...


何もしないんだ...


「もともと、隆弘は不良でね。いろいろと問題起こしたもんだよ、高校でも」


「高校でも...?」


どうして弘毅さんが隆弘さんの高校でのこと、知ってるの...?


「理紗!!!」


「行っておいで。隆弘が待ってるから」


「はい...」


弘毅さんがあたしを離す


隆弘さんがあたしを思いっきり抱き締める


「大丈夫か?何もされてねえか?」


「大丈夫です」


「良かった...」


あたしを抱き締める腕に力がこもる隆弘さん


微かに震えてる肩


「隆弘さん...」


「ん」


「...苦しいです...」


呼吸...しにくいです...


「あぁ、悪い」


慌てて離す









< 12 / 94 >

この作品をシェア

pagetop