不良の印


「一緒に登下校しようぜ」


「え?」


智弘は照れくさそうに言う


「いーよ、そんな...」


「俺がしたいの。お前が嫌じゃなきゃいいけど...」


「うーん...じゃあお願いしようかな」


「おう。帰り、迎えに来るから」


「ありがと」


ニコッと笑えば智弘も嬉しそうに笑う


その人が隆弘さんだったら...


なぁんて...叶わない恋だな、あたし...


それから、授業は一切頭に入って来なかった


みんなの笑い声、先生の声


ゆっくり流れる雲、たまに来る小鳥たち...


みんな...一瞬でいいから止まってほしい...


そしたらあたしは...隆弘さんに会いに行きたい...


「理紗、智弘君が来てるよ」


「あ、うん。一緒に帰るの」


「えぇっ!?智弘君と付き合ってるの!?」


「ううん、一緒に帰ってくれるだけだよ」


「ふぅん...」


蘭は結構鋭いけど...


ちょっと鈍いとこもある


「じゃあまた明日ね♪」


「バイバイ♪」


あたしはカバンを持って廊下に出る








< 18 / 94 >

この作品をシェア

pagetop