不良の印
「一緒に登下校しようぜ」
「え?」
智弘は照れくさそうに言う
「いーよ、そんな...」
「俺がしたいの。お前が嫌じゃなきゃいいけど...」
「うーん...じゃあお願いしようかな」
「おう。帰り、迎えに来るから」
「ありがと」
ニコッと笑えば智弘も嬉しそうに笑う
その人が隆弘さんだったら...
なぁんて...叶わない恋だな、あたし...
それから、授業は一切頭に入って来なかった
みんなの笑い声、先生の声
ゆっくり流れる雲、たまに来る小鳥たち...
みんな...一瞬でいいから止まってほしい...
そしたらあたしは...隆弘さんに会いに行きたい...
「理紗、智弘君が来てるよ」
「あ、うん。一緒に帰るの」
「えぇっ!?智弘君と付き合ってるの!?」
「ううん、一緒に帰ってくれるだけだよ」
「ふぅん...」
蘭は結構鋭いけど...
ちょっと鈍いとこもある
「じゃあまた明日ね♪」
「バイバイ♪」
あたしはカバンを持って廊下に出る