不良の印


「・・・・・」


ん...?


テレビの音が聞こえる


『では、次のニュースです。富ヶ丘で昨日から行方不明の河本理紗さんのニュースです』


...あたし...?


うっすら目を開けると、テレビの画面にあたしの顔写真


『5月6日から2週間、同一人物に誘拐されています。犯人は友山隆弘、21歳。友山は有名な暴走族、疾風のリーダーであり、全国各地に大勢の仲間が居ると言われています』


...そんなに...?


「おい、お前ら」


声とともにテレビの音が聞こえる


「隆弘さんっ」


「理紗が寝てるからってテレビ見てんじゃねえよ。...理紗が寂しがるだろう」


隆弘さんがやさしくあたしの頭を撫でてくれる


「隆弘さん、どうしてコイツなんですか?」


「は?」


「隆弘さん、今まで女とつるんだことないじゃないですか」


「...俺はコイツを守りたいと思ったから」


「どうしちゃったんですか?隆弘さん。女にここまで惚れ込むなんて...隆弘さんらしくないです」


「...俺らしいってなんだ?」


「え...?」


「俺らしいってなんだって聞いてんだよ」


...声だけで分かる、怒ってることは


「隆弘さんは...いつも俺らに言ったじゃないですか。他人なんか信じるなって。愛を抱くなって」


...そんなこと言ってたんですか...?


あたしが...こんなとこに来たから...







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