不良の印
「それに比べアイツはよく分からない奴だよ」
「ですね」
クスッと笑う
「理紗ちゃんの高校に行ったの、あん時が初めてじゃなかったんだ」
「え?」
「俺ら、あそこの高校の出身でさ。たまーに行ってんだ。放課後しか行ってないけど...。あんときはたまたま近く通ったから寄りたいってアイツが言って。朝っぱらだっつうのにさー」
あははと笑う弘毅さん
「そしたら理紗ちゃんが横通って。それ見てた隆弘が急に理紗ちゃんを後ろから抱き締めちゃったんだよ」
...あれで抱き締めたの?
思いっきり羽交い絞めに遭いましたけど?
「そのまま理紗ちゃん、力尽きちゃって。理紗ちゃん抱えてアイツが戻って来て連れてっちゃったんだよね~」
「そうなんですか...」
そうだったんだ...
「アイツ自身、なんでそんなことしたのか分かんないって言ってた。一発殴ってやりたいと心から思ったよ」
思いきり笑う弘毅さん
ヴンヴン
遠くからバイクの音
「あ、帰ってきたんでしょうか?」
「...違う...」
「え?」
今、違うって言った?
何が違うんでしょうか?
「理紗ちゃん、ココア連れて隠れて」
「え?でも...」
「いいから隠れろ!!」
「...はい...」