〇●ポーカーフェイス●〇
そんなとき、電車のドアは開き、その男が何事もなかったように電車から出ようとする
私はそんな男の後を追い電車を降り、少し後をつけ、周りから目立たなくなったところでその男の腕を思いっきり掴んだ
男はビクッと一瞬止まり振り返った
そして目の前にある私の姿に青ざめる
「何だ君は」
男はしらばっくれてそんなことを言うけれど逃がさない
「痴漢。しましたよね?」
そうさらっと言うと男は汗を拭きながら目を反らした
「何のことだ。人間違いだろ」
そんなことを言いながら焦りは隠せない
私はその間に男をじっくりと観察する
つけている時計
着ているスーツ
そんなものを見ながら判定する
「今駅員さんに泣きついてもいいんですよ?あと、あの電車に乗っていた人みんな気づいていたはずです。裁判おこしたらあなた負けますよ」
そんな言葉に表情をこわばらせる男
そんな男をまっすぐ見て口角を上げた
「別に、警察に連れて行くつもりはないんですよ?ただ、お金ください。」
「何だと?」
そう怒り出す男
そんな言葉に私はため息をついた