〇●ポーカーフェイス●〇
私は携帯をポケットから取り出し耳にあてた





「もしもし




うん





今?





駅の近くの公園














ベンチに座り、ぼーっと前を見た







何も考えずにただひたすら






あの時の篠原葵のように





しばらくすると遠くからパタパタと走ってくる足音が聞こえてきた





その足音は私の前で止まった





はあはあと息を整えて私のことをじっと心配そうに見つめた





「結愛ちゃん、お待たせ。大丈夫?なんかあった??」






「別に」






「だったらいいんだけど。」





宏太は私の頭に手を乗せた






「ねえ、今までで信じてもいいかなっていう人いた?」






宏太は私の隣に腰かけて空を見上げた





「まだ、いないかな。信じたくないんだよ。」




「これからも?」





「そうだな。どうせ、っていう言葉が頭に浮かぶ。でも愛結ちゃんは違うかな。信じれるっていうより、共感しあえるっていうか、それが何だか心地いいんだ」





「私も」





「怖くなったらいつでも呼んで。今日みたいにすぐに飛んでくるから。」





そう言って真剣に私を見つめている





「私もあなたのお金に集ってるだけかもしれないよ?」






「いいんだよ。裏切られるのは慣れているから。ただ気持ちをわかってくれれば」






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