〇●ポーカーフェイス●〇
午前の授業は終わり、昼休み
久しぶりに橘さんがいるからか教室がきゃっきゃと騒がしい
あの甲高い声を聞くと頭が痛くなる
私はお弁当を持ち、屋上へ行くことにした
教室を出るとき橘さんの真後ろを通りすぎる
そのとき
『早めに教室戻って来なさい。楽しいことしてあげる』
そう不気味な声が聞こえた
私は聞こえないふりをして教室をでた
屋上に出ると誰もいなくて、
お弁当を開いてもだれもくる気配はない
珍しく一人の屋上
いつもなら少しするとパタンとドアが空いて、隣に末永がくる
けど、教室は来そうもない
久しぶりに一人で落ち着ける
と、そう思いながらもなんだか胸のあたりがざわざわする
そのざわざわを忘れるため、私は目を閉じ、宏太の顔を思い出した
宏太への返事
私がそれを告げれば何か変わる気がる
これからも感情を取り戻す気はないけど、一人だけそれを共感してくれる人か近くにいてくれればいい。
宏太はそんな存在
末永は私と住む世界、考え方が違いすぎる
私は横になり、空を見つめた。
あの日、夏華と約束をした時のような雲一つない大きな空
『結愛?卒業したら遠くへ行こう?この学校の人が誰もいない遠くの学校、一緒にやり直そう?きっとまた楽しいことがまたたくさん待ってるよ?』
『でも夏華、私怖いよ。また同じことになるかもしれない。きっとみんな同じだよ。みんな裏切る』
『大丈夫‼だとしても私がいるから‼私はいつでも結愛の味方だよ?』
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『結愛ごめん、ごめんね?私、強くなかった。』
「っっ…!」
ぱっと目をあけ、立ち上がる
Nのネックレスを握りしめ、目の前をぼーっと見つめた
「夏華、あなたは強かった。弱いのは私。ごめん…」
私は屋上を後にし、教室へむかった