〇●ポーカーフェイス●〇


教室に
キャーッッと女子の声が響く




橘さんはその場に力なくパタンと座り込んだ





私はプルプルと震える手に力を込める





ガラスの破片を力いっぱい握りすぎて掌からぽたぽたと血が垂れていく




この痛み






この血の臭い





思い出す
あの日を鮮明に思い出す






私はゆっくりと立ち上がり振り向く






私を囲むクラスメイト







ガラスの刃を全員に向け、睨む






息をのみ、後ずさりをするクラスメイト






「ねえ、あなた達に大切なものってある??」


そんな私の問いに答える人なんてもちろん誰もいない









「友達??家族??恋人??






私はね全部奪われたし





全部捨てたし




全部失った」









「もう失うものなんてない…





何も怖くないんだよ、、、






今ここで自分が死ぬのも






誰かを殺すのも






何も怖くないんだよ








だって







もう失うものなんてないんだから。。」








私はそれだけいい、その場にガラスをカランと力なく落とした









そしてぽたぽたと血を流しながら
教室を出て行った











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