〇●ポーカーフェイス●〇



そのまま屋上に向かい、外へ出る






低いフェンスを乗り越え、落ちるぎりぎりのところに立ち、両腕を広げて目を閉じる





そして、風を感じた






あの日、あの時
夏華はここでどんなことを考え





どんなことを思い





どんな風を感じたの??






最後に見た景色は何??






最後に聞いた音は何??





最後になんて言った??





最後に誰を思った??









瞼の隙間から涙があふれ出す







目を閉じてるはずなのに次々とほんのわずかな隙間から涙が零れ落ちる







目を開け、涙がこぼれないように空を見上げ、大きく息をすった






そんなとき後ろにがばっと引き寄せられた









背中から伝わる熱





「お前は死ぬな。…お前がいなくなったら次笑えなくなるのは俺らだから。」






そう言ってギュッと力強く抱きしめる








私は振り向き、末永の腕からすっと抜けだし、フェンスの中へと戻った






「別に死ぬ気なんかないわ」





そう言ってフェンスに寄りかかり何処かを見つめた





「なんだ、それなら早く言えよ」







そう自分の頭をくしゃっっとかき混ぜため息を着く末永






そんな末永を見てなんだかほっとした




「何で私が生きてるか知ってる??」






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