〇●ポーカーフェイス●〇
末永は私の手を取り、コットンと消毒液で丁寧に手当てをした




「何か手慣れてるね」




そう呟くと末永は笑った




「あぁ、妹が怪我したときとかやってやってるからさ。ま、俺も良く怪我するし。」





そう冗談ぽく笑う末永





消毒が終わったあと、包帯で綺麗に巻いてくれる





ドキドキとかそういうんじゃなくて、何だか胸が熱くなった




「ほら、終わり!ちゃんと安静にしてろよ?それと、これ!」





そう言って私に一枚のノートの切れ端を手渡す





切れ端には電話番号が書いてあった





「何か辛いこととか、一人じゃ無理そうなことがあったら、電話しろよ。いつでも行くし、話し聞くから」




立ち上がり、私に背を向けて話す末永





「かけることないかもしれない。」





私はそれだけいい、その紙をポケットにしまった





「ま、いいよ!お前が大丈夫ならそれでいい。もし、ダメなときがあったらでいいから、な?」




振り向き、優しく微笑む





私はゆっくり頷いた





「私、誰のことも信じてない。あんたのこともまだ、信じきれない。けど、一人だけ少し信じてもいいかなっていう人ができた。」





そう宏太のことを思い出した





末永は寂しそうに笑う





「よかったじゃん!」




そう言って屋上から出て行った




末永にたいしての気持ちは好きとかじゃない
そう思っている




けど、なんだか胸の奥がチクチクする




私はまた目を閉じ、宏太のことを思い出し、そのチクチクを無理やり追い払った
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