〇●ポーカーフェイス●〇

蓮サイド




冷たく冷えた東城の手




ひんやりと俺の体温を奪うはずなのに
身体は熱い





東城の姿を見つけたとき
このボロボロの姿を目にしたとき




守らないと
俺が守ってやらないと





そう思った





俺に何ができるわけでもない






でも一人でもいいから裏切らないヒトを与えたい




それが俺であればいい




そう思った




しばらく無言のまま歩く




家に着くとぱっと東城の手を離し、鍵を探す




手を話すと少し不安げに俺を見上げる




「大丈夫、鍵、取るだけ」




そう言うと俺の服をぎゅっと掴んだ





今日の東城はいつもと違う
すごく素直というよりとても弱い




寂しくて、孤独で
きっとヒトの体温を感じていたいのだろう





ずっと一人だったから





これがきっと東城の本当の姿





ずっと一人で戦ってきた
ずっと孤独だった
ずっといろんな物を抱えていた





まだこいつには大きすぎる問題を
抱えすぎていた




俺は鍵を開け、また東城の手を握った




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