〇●ポーカーフェイス●〇
学校の最寄り駅につき、いつもの道で学校に向かう





公園のベンチには篠原葵が座っていた





篠原葵はいつものようにぼーっと眺めていると思いきや、私が近づくと立ち上がり振り向く




「おはよう」




そう振り向く篠原葵




「おはよう…」




「一緒に学校行こう?」





そう笑いかける
私は頷いた





歩きながら篠原葵は話し出した




「私、もう自分作るのやめたんだ。でもね、気づいたら学校の私って最初は意識して作ってたけど、今はもう自分だったの。


この前のことがあって、私お姉ちゃんに泣きながら叫んじゃった


お姉ちゃんにも、私はずっとお姉ちゃんが羨ましかったって、」




私はただ黙って聞いていた




「そしたらね、お姉ちゃん泣いてた。でね、笑ったの。葵はバカだなあって…



私はずっと葵が羨ましかったんだよ。葵が産まれて、みんなとても喜んでてもちろん私も嬉しくて、でもお母さんもお父さんも葵ばかり可愛いねって構ってた



幼い時私はこのまま私いらない子になっちゃうんのかなってすごく焦ってね、お父さんとお母さんに好かれるようにいい子を演じてた。



学校でもどこでも評判がよくなるようにいい子をやってた。
ずっとやってたらもう元には戻れなくなった




たまに疲れる時だってあるよ。私なにやってんだろうって…
ばかみたいって…



そういう時に葵のこと見るとありのままの自分をそのまま出せてて、それでもみんなに愛されて、すごく羨ましかった。



って…そう泣いてた」





篠原葵は少しさみしい顔をして笑う




「私、自分だけ辛いって思ってたの。お姉ちゃんがあんなこと思ってたって知らなかった。」




そう落ち込む篠原葵



「お姉ちゃんもあなたもお互いが羨ましかった。でも大好きなんでしょ?


だったらそれでいいじゃん?」




そう私がいうと篠原葵はニコッと笑った




「今では前よりも仲良しなの!全部言えて良かった!それも東城さんのおかげだから!


朝から思い話ししてごめんね?
東城さんには話しておきたかったんだ!
聞いてくれてありがとう」





私は首を振る




そんな話をしてたらあっという間に学校についた





教室に入ると、
「あおちゃんおはよ!」



と、人が集まる
いつもの光景




私はその輪から抜け出し、自分の席についた




あの輪の中にいる勇気はまだない。




席につくと隣には机に突っ伏して寝ている末永の姿




私は席に座り、耳を机にくっつけて寝そべり、末永をじーっと見つめた







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