〇●ポーカーフェイス●〇
そんな夏華の言葉に何そうになった





悲しくてじゃなくて嬉しくて




私は夏華と別れ、家に走って帰った




私も夏華みたいにお父さんのこと元気付けてあげよう!



みんなが敵でも、私だけ見方でいてあげよう!




たくさん笑わせてあげよう





「ただいまー!」




私は家に飛び込み、リビングに入る





「お父さん!ただい…ま…」




笑顔で入ったはずなのに
一瞬で体が固まった





そして少しずつ力が抜けて





表情もなくなっていた





その場にパタンとカバンを力なく落とした




「お父…さん…?」



そうゆっくり近づく





私の目の前にいるのは






天上から首をつっているお父さんの姿だ




ぐったりとして
顔はみたこともないような青くなり、指先に少し触れると冷んやりと冷たかった




一粒





そしてまた一粒





涙が流れた






お父さんの手をぎゅっと握り、冷たい手を温める




ただそんなことしかできない





「お父さん!お父さん‼‼」




ただそう叫び、大声で泣いた





今でもそのときのお父さんの顔が忘れられない





苦しそうで、悲しそうで




何でもっと早く元気付けてあげられなかったんだろう…




何でもっと早くお父さんには家族みんながついてるよ?って言ってあげられなかったんだろう




そう私の頭のなかでずっとそんな後悔が駆け巡った
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