〇●ポーカーフェイス●〇
「バイトで家賃と学費と生活費全て稼げるとは思えないが…」




そんな言葉に私は黙り込んだ




実は詳しいことは全く考えていなかった





「結愛、私が君が住むマンションを買い、学費を払う。生活費は自分でなんとかする。どうだ?」





私はおもいきり首を横に振る




「そんなに迷惑かけらません…それに私もう、桜山さんと寝ることはできないと思います」






桜山さんは微笑む





「わかってるよ。これはセフレとしてではない。援交でもない。


ただ、父としてだ。」





そんな言葉に私はためらう




「私はね、妻はいたが体が弱くてずいぶん昔になくしてね、子供にも恵まれなかった。



だから自分の結愛が子供のようなものなんだよ。勝手かもしれないけど、受け止めてくれないか?


娘の成長を見届けるのが私の夢だった。だから代わりに結愛の成長を見届けたいんだよ。」





寂しそうに話す桜山さん





私は頷いた




「わかりました。でもお金は必ず返します…」





そんな言葉にも桜山さんは首をふる





「もし、君がもっと大人になったとき、もし有名になったら、きっと尊敬する人、恩人を聞かれるときがくるだろう。そのときに私の名前を出して欲しい。


そして、君がもしも結婚するときにその式に私を呼んでほしい。


それだけでいいよ。
これが私との約束だ。」





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