balance love
::: 秘密
あれから1週間が経った。
あたしは前ほど いらいら
することはなかった。
そんな時のことだった。
「みーらいっ。
トイレいこーよー」
「うん。」
和音と廊下を歩いていると、
曲がり角の向こうから、
雅美ちゃんの声が聞こえた。
その曲がり角は あたしたちが
行く方向ではなかったから
雅美ちゃんの姿は見えなかった。
おそらく、和音には…。
あたしは視界の端に入れてしまった。
雅美ちゃんと、渡辺(ワタベ)先輩が
仲良さそうに話しているのを。
渡辺先輩といえば
綺麗な顔に優しい性格で
美術部の部長さん。
「ねぇ和音っ。さっき雅美ちゃんと
渡辺先輩が――…」
「あーやっぱ??」
「へ?」
和音は 見たんだ って感じで
あたしの言葉を遮った。
「付き合ってるって有名だよー!
でもね渡辺先輩、3股なんだって!」