赤い靴
「役者になる」

母に初めて言葉にしたのは、高校2年生の時だった

‘絵を書く事や小説を書いたり、芝居する事が好きな子なんだな’

とは思っていたらしいけど、まさか‘役者になりたい’とは本気にしていなかったらしい

高校2年の夏に神戸の従姉妹の家に行った時、勝手に受けて出したオーディション。それが見事受かり、母に黙っている事ができなくなったのだ

卒業後のあてが決まった高校3年の夏

母は一度だけ就職を進めて来た

でも私は聞く耳をもたなかった

芝居一本

その考えを決して曲げなかった

「未幸、進路どうするんだ」

今まで何も言って来なかった父が干渉しだし

私は喋らなくなっていき、イライラすることが増えていった

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