3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
episode 1,4
ふたりの、わたしの家から学校までは、閑静な住宅街のあと少し広く交通量の多い通りを抜けふたたび住宅街に入る、徒歩三十分の距離だった。
学校側には起伏のない土地に家がきれいに並び、手前、丘側には坂の多い土地に入り組み家が広がっている。
ファストフードもあれば大型の本屋もあるメインストリートがふたつを隔てているかたちだ。
大通り交差点に差しかかると、右向こう角にはコンビ二、左向こう角には女性人気のベーカリーが見えてくる。男性は主に右向こう角、女性は主に左向こう角に消えている。
自転車、人、バイク、車。信号機がその流れで人を遮っていた。コンビニの先の定刻発車を待つバスを意識してか、背広姿の大人や制服姿の学生が落ちつかないようすを見せていた。
法律上の歩行者優先は、歩行者に優しい環境と必ずしも一致しない。この時間の信号は、決して公平に変わらない。
わたしたちは少し離れた歩道で、その優先の変わるの時を待った。
「そういえば裕也はどこ受けるの?」
そういってわたしは彼を見た。高校の受験の話しだ。
「まだ決めてないけど……。遥香は?」
「今日の面談しだいかな。いちおう成績とかも詳しく聞きたいし」
「どこでも受験可能です。とはいってくれないもんな」
「さきのことを考えれば少し下のほうが楽だしね」
「そうだよな……」
なにか考え込むよう彼は眉を寄せた。昨日からはじまった三者面談が原因だろうか。