3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
中学三年の十二月は、人が受けるはじめて社会の洗礼ともいえる時期なのかも知れない。
多くの人はここで少なからずの悲観をし、現実を突きつけられ、上下へと道を振り分けられ失意の念を抱く。
素行のよくなる子もいればスカートの丈が長くなる子もいて、髪の毛が急に黒くなる子もいればストレートパーマをかけ優等生を気取ってみる子さえもなかにはいる。
わたしの場合、無理にでも敬語を使い新聞を読み、きれいな字が書けるようにいつも心掛けていた。担任にそうするよういわれていた。
時には相手を潰すことも必要だ。時には相手から奪うことも必要だ。恋とおなじく情けは不要だ。
「結局、最後はどこを受けるかじゃなくて、どこを受けさしてもらえるのかだろ」
裕也が鼻の頭をかきいった。彼のくせだ。
「表現的にはそっちがただしいけど。でも面接で、ここしか受けさせてもらえませんでした。なんていう?」
「自由な校風にひかれて……、とか、部活動に励みたくて……、とか」
「でしょ」
突き詰めればむこうが見ているのはこちらの志望動機じゃなく、姿勢、態度、立ち居振舞いといった別のところになる。
「なんかね」
わたしはそういいうつむいた。
偏差値は選べても面接は選べない。面接という名の尋問など、受けたくはない。
肩を落とす。視線を落とす。呼吸を落とす。言葉を落とす。