3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
friend
episode 2,0
ベーカリ―をでると太陽が顔をだしていた。
木々はたわみ雪を落としている。雪はひかりを映し形を変えていく。
ベーカリーの袋とカバンを手に、わたしは歩きだしていた。
「ごはん買ったの?」
彼女はそういってわたしの前にあらわれた。百四十にも満たない幼い顔が下から覗き込む。
「いろいろあって朝ご飯とお昼ご飯をね」
「あたしも。寝坊して朝ごはん食べそこねたんだ。おかげで髪も寝癖もむちゃくちゃだよ」
「ひどいね。学校着いたら直してあげるから、あとできなよ」
「うん。わかった、すぐいくね。待っててね」
南奈美理子(みなみりこ)はそういってわらい、つまみ見せていた髪をおろした。
理子は同い年とは思えない、幼い顔と無邪気な性格の持ち主だった。彼女は二か月前、中学三年の十月という不思議な時期に転校生してきた。