3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
少しだけコーヒーを口に含み理子はいった。
「今日は裕也君いないの?」
彼は女の人とどっかいったの。とは、もちろんいえない。
「なんか用事あるみたいだったから、わたしだけで先にきたんだ」
「そうなんだ……」
理子は耳の輪郭をかく。
「どうかしたの?」
わたしはそれを見降ろしいう。
「うん……」
彼女はそういってうつむき、ひとつ呼吸をおいた。
「ううん。なんでもない。気にしないで」
そういってわらい、左手でわたしの袖をつまみ小さい子のように指先でひっぱった。
それを左右へと、振った。
校舎に着くと理子は二階、わたしは一階へとわかれていった。
三年生の教室は進路指導室のある一階と、職員室のある二階にまたがっている。
「昨日はごめんね」
思い出したかのようにそういい、理子は階段の手すりから身を乗りだした。
「気にしなくていいよ。チケットも他で使えたし、映画も見れたしさ」
「ありがとう。遥香さんやさしいから好き。また誘ってね」
「うん。またね」
理子に好きといわれると、いろいろな意味を考えてしまう。視線を思わずそらしてしまう。