3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
episode 3,0
三者面談を終えると陽(ひ)が沈んでいた。
時計は十七時近くを指している。辺りは暗く明かりがともっている。
一礼したあと扉を閉めたわたしは、足早に教室をあとにした。
父の母も間に合いはしなかった。
ひとりづつ遅れていき行き着いたのは、わたしの面談を十分で終わらせること。父と母を交えての面談を、二日後の午後からやり直すこと。
それまでに志望校を決めておくよういわれた。両親に成績が落ちたことを伝えておくよういわれた。
「遅くなってごめん」
わたしはそういって裕也に声をかけた。彼はすでに靴を履き替え、ひとり下駄箱の横に立っていた。
「ずいぶん遅かったけど大丈夫だったか?」
「まえの子が押しててね。十分で終わらされちゃった」
「それはそれで短く済んでよかったかもしれないな」
「そういわれると、そうかもしれないね」
靴を履き替えつま先をむき出しのコンクリートの上に落とし、足先を奥へと入れた。上履きを下駄箱へと戻し、学校をあとにした。