3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
「いくぞ」
裕也はそういってわたしに声をかけた。
学生服に入れられたその手の袖には白いシャツがのぞいている。手首があらわになっている。
「うん。学校のほうが温かいだろうしね」
わたしも彼ほどではないけれど、成長のあかしとしてそれが少しでている。
「そういういこと」
ふたりが変わるはずのない今日という日を歩きだしていた。そう信じているだけの今日という日を歩きだしていた。
すべての終わりもう、はじまっていた。
時がひとつ生まれその生を終え、またひとつ消えていった。