3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
今朝、両親は沖縄に飛んでいた。いとこの七回忌だ。
平日の日帰り、むこうの滞在時間はわずか四時間という無理なスケジュールを組んだのは、二学期の成績を踏まえてのわたしの三者面談が、翌日行われる運びとなっていたからにほかならない。
十時前の飛行機に乗れば十二時過ぎには沖縄に着き、法要とそれを兼ねた食事を終え、十六時過ぎの飛行機には乗れたのだろう。
三回忌の時もおなじプランだったのだから、無理な計画ではないはずだ。
しかし昼前から本州中部に降りそそいだ雪は、その結晶と量と大きさにより、都市機能を徐々に麻痺させていた。
空港はもとよりバス、道路、鉄道とダイヤを大きく乱し、その機能を停止させていた。
夕方にはすべてが閉ざされていた。帰路も思惑も、もうない。
「だから昨日にしたらっていったんだよ……」
ひとり残されたわたしは、大変ご立腹ようすだった。
昨日、日曜だったならいっしょにいくこともできたのに、叔母は子供の亡くなった日に法要を行うことにこだわっていた。
一才にも満たない子を「乳幼児突然死症候群」という病気で亡くしたのだから仕方ないのかも知れない。
前触れもなく、かわいい娘を失ったのだから仕方ないのかも知れない。
電話のむこうでは琉球弦楽器の三線(サンシン)の音が響いていた。宴会の最中なのが推測できた。その光景が頭に浮かんだ。
父も母も沖縄出身のせいか、帰省した際には見たことのないものが食卓に並んだ。