隷従執事の言いなり
零章

専属執事



我が家の決まり。


六歳から専属執事がつく。


令嬢である、私蕪木椿(カブラギ ツバキ)にもそれは勿論当て嵌まる事だった。


家は大手貿易会社を経営していて。
生まれた時から身の回りの世話なんかは自分でやった事が無かった。





『この三人の内、自分の専属執事を決めなさい』


パパが連れてきた三名の執事候補。

その中で一人だけ、私の気になった男の子がいた。


他の二人には後ろに保護者らしきおじさんが立っているのに、その男の子は一人。
それに年齢が格段低いように思う。
丁度私と同じくらい。


ニコニコと愛想を振りまく二人に比べて、にこりともしない。
目さえ合わせない。


「おなまえはなんていうの?」

『黒峰碧(クロミネ アオイ)君だよ』


私は男の子に聞いたのに、答えたのはパパで。


俯いたまま。


そのただならぬ闇が、私の興味をそそった。


…ほっといちゃいけない気がした。



「あなたにきめたわ、あおい」



私は男の子の冷たい手を握った。




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