隷従執事の言いなり

『ふ、双子…?』


碧は拍子抜け、といった感じで、目をパチクリさせる。


「た、例えばだよ…?」

『ぷっ…!…くく、はは、あははは』


急に口を押さえて、大笑いし始める碧。

「な、な、な…!」

私はその様子が意外すぎて。
だって、碧のこんはにゆるい顔、見たのはとても久し振りで。

恐らく自分が笑われてるこの状況でなぜか、心がふんわり暖かくて。

碧の笑顔が、そうさせる。


『お前はほんっと変わってないってか馬鹿っつうか…、相変わらずだな』


「う、うるさい…!」


こんな体制なのに、何故か流れる懐かしくて優しい空気。



まるで小さい頃みたいな。



「ね、双子じゃなかったらなんなの?さっきのはどういう意味?」

『…つまり、俺は俺。執事は執事。ってことだよ』




…さっぱりわけが分からん。



『馬鹿には分かんねえか』

「馬鹿じゃないもん!」

『あー、はいはい。椿は天才ですね〜』

「分かればいいのよっ」



…ってなんかうまく丸め込まれてる気が…。



「本気で思ってないでしょ…!」

『本気本気。この目見てみろよ』


私の顎に軽く触れ、目をじっと見つめる碧。


『……』


感じたことの無い感覚。
なんだか、吸い込まれそう。


『な?……俺はお前しか見てない』






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