隷従執事の言いなり
「え?なんの話…?」
今はそんな話をしてるわけじゃない。
文脈が繋がってない。
『んー。椿の間抜け面はみてて飽きないって話』
「間抜け面っ!?」
顔をペタペタ触って、確かめる。
その間に碧はもうベッドから離れていて。
シャツの裾をピンと引っ張って凛々しく立っていた。
『はは、やっぱ間抜け』
「さ、さっきから本当失礼!執事のくせに!」
『だーかーら、今は執事じゃねえの。
…でも今日はタイムリミットだな』
碧がそう呟いた途端、顔つきが変わった。
凛々しく、乱れの無い執事の顔に。
『椿様、お休みなさいませ』
狂いの無い綺麗なお辞儀。
そこに立っているのはもうさっきまでとは別人ような碧。
つまり碧の言いたい事は、そう言う事だったのか。
「…うん、今日も一日ご苦労様」