隷従執事の言いなり
パパが歪むとか言ってたのはこの事だったのか。
「それって教育上問題あるんじゃ…」
『やぁねー。波留は素直に育ったわよ?』
『はい、素直です。俺』
し、信用できない…!
素直な子は自分の事素直ですなんてきっと言わない。
それに…
『仲良くして下さいねっおねーさんっ』
こんなに生意気に笑わない!!!!
『じゃあ兄さんと私は外出てくるからお留守番よろしくっ』
「えっ、そんな…!」
二人で置いていかれるのはとても不安なんですが…。
『碧、椿を頼んだぞ』
『かしこまりました』
パパが呼んだその名に胸が反応して。
背後から聞こえたその声は鼓膜を揺らす。
何故かそれだけで、背中に神経が集中してしまう。
昨日の事が何もなかったようにいつも通りの碧だったから。
『椿様、波留様とお庭にでも行きましょうか』
呼び方だって椿様だし。
まぁそれは皆いるから当たり前なんだけど。
なんか、少しくらい微笑むとか、アイコンタクトとか。
あってもいいのにって。
そこにいるのは執事の碧で。
やっぱりなんだか気に食わない。