隷従執事の言いなり
されるがまま波留くんに手を引かれて。
たどり着いたのは迷路のように入り組んだバラの庭園。
遊び心でつくったんだとか。
『ここなら誰もこないかな』
「波留くん…?」
確かに人の気配すらない。
波留くんは私の手を離すと、どかっと地べたに座り込んだ。
そして、
『…あー疲れた糞が』
眉間にはシワ。
胡座をかいた膝に肘をつき、その手で顎を支える。
『何がおねーさんだよ。自分で言ってて虫唾が走るよまじで』
まさに化けの皮が剥がれる瞬間。
いや、まぁさっきからちょこちょこ垂れ流されてたけど。
生意気というより性悪。
「あ、えと…その…え?」
『なんて顔してんのブサイク。しゃあねぇだろ猫でも被ってなきゃあのババァの元でやってけねぇよ』
「ブブブサイクですって…!」
『おっかねー。更に悲惨な顔になった』
なななななななんなのこいつ…!!!!
むかつく!!
「あ、貴方こそねー隠してるつもりだったんでしょうがその底意地の悪さ、さっき漏れ出してわよ?もう少し上手く出来ないのかしら…っ!」
私だって負けてられない…!
『あんたこそ気を付けたほうがいいんじゃない?』
『あの執事の事好きでしょあんた』