隷従執事の言いなり
『本当お前は単純な奴だな…』
またもや私を馬鹿にして笑みを浮かべていた碧だったけど、急に表情が変わった。
どうやらその表情は陰っているようで。
眉は歪んでいる。
「ど、どうしたの…?あお…い?」
馬鹿にされていたのなんてどうだってよくなってしまう。
だって、碧に元気がないと私までなんだか暗い気持ちになってしまうから。
『そんなんだからあんな餓鬼に目つけられんだよ…』
「え?」
ものすごく不本意そうに、ボソボソと言った碧の言葉は聞き取りにくくて。
『だからー!あんな餓鬼にホイホイついてくなっていってんだよ!』
な、何この子供じみた言い方と表情は…。
碧らしくない。
…でも、なんだか可愛い。
「餓鬼って…、まさか波留くんのこと?」
餓鬼とか言っちゃっていいのかな…?
『あいつしかいねぇだろ』
あ、やっぱりそうなんだ。
まぁ確かにあのクソ生意気な悪坊主は、執事に餓鬼呼ばわりされても文句は言えないだろうが。
『…んとに、あのカス。俺にあんなメモを…(ぶつぶつ』
ん?そういえばメモがどうちゃら言ってたな。
「なんでそんなに碧が波留くんに腹を立てるのよ?あなた別になにもされてないんでしょう?」
私が腹を立てるのなら納得がいくが、碧が波留くんを怒らないといけない原因がわからない。
『お前…、それを俺に聞いていいの?』