隷従執事の言いなり
本当に碧は、含みをもたせた言い方で私を惑わすのが上手い。
なんだか嫌な予感がするのに、その先を聞きたくなる。
そんな不思議な感覚。
『あんな餓鬼でも男なんだ。そんな奴と2人きりでベタベタしやがって』
「ベタベタなんて…!そもそも2人きりだったのは碧が…!!」
そこまでいってハッと口を押さえる。
だってこれを言ってしまったら、私がだだをこねてるみたいなんだもの。
『何?俺に来て欲しかったの?』
「…っ!!」
しかし碧にはなんでもお見通し。
すぐにばれてしまう。
「そ、そうよ!だって、碧ったら知らないフリで…!」
可愛くない反応してしまう私。
こういう時にお嬢様のプライドというものは非常にやっかいだ。
『あれはしょうがなかったんだよ。…ほら、これ』
そう言って碧が取り出したのは、くしゃっと丸められたメモ。
そしてそこには…、『今日、俺がやることに口出しすんなよ、お前、執事だろ?わかってるよな?』と、殴り書きで書いてあった。
波留くんだ…。
なんていう悪どさ。文からさえ邪悪な気配が…。
でも波留くんたらなんでわざわざこんなこと。
『あいつだって一応この家の親戚なわけだし、逆らうわけにはいかねぇし。俺だってどんなに耐えたと……』
碧は相当波留くんにイラついているのか、波留くんの話をしてる際中は終始頬の筋肉が引きつっていた。