隷従執事の言いなり


ここまで追いかけてくるなんて…。とことん底意地が悪いのか。

「何しにきたのよ…!」

邪見にされたのを恨んで仕返しにきたとか…!だとしたら怖すぎる!


『んー?その執事野郎がとうしても気に入らなくてね。文句言いにきちゃった』


波留くんの標的はどうやら碧らしい。
碧の顔をそっとみると、いつものポーカーフェース。
執事スイッチがオンしたのだろう。


『これはこれは、それは一体どういった?』


だけど、そのポーカーフェースの下に隠している殺気が漏れ出ている。
心なしか眉毛がピクピク動いているような…?


波留くんが碧をきにいないように、碧も波留くんが気に入らないらしい。
只違うのは、波留くんは堂々と文句がいえるが、碧にはそれができないという事。


『まずその顔』


波留くんは恨めしそうに碧の睨んでから指差す。


…碧の顔が気に入らないなんて……。
波留くんたら理想高いなぁ。


普段褒められることしかしてない碧の顔にイチャモンをつける人が初めてなだけにキョトンとしてしまった。


『見れば見るほどむかつくよ。その整い方喧嘩売ってるとしか思えねぇ』


あ、なるほどね。

しかしこう言われれば納得もする。
つまり整いすぎてムカつく、と。
なんだ只の嫉妬ってやつか。可愛いところもあるじゃない。


私はなんだか優越感にひたっているが、当の本人は反応に困ってるよう。


『え…っと…』

褒められているのか、咎められているのかなんだか分からないことになっているだろう。

よくよく考えたらムカつく、というのは最高の褒め言葉なのかもしれない。



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